コラム

『がんとゲノム医療』の今後④ ~暴走しているのは誰だ?がん遺伝子パネル検査~

2019.03.20

こんにちは
徳英の関川です。

前回は分子標的薬(細胞の暴走を引き起こす異常な遺伝子をもった細胞のみを狙撃する薬)でより精密に、より小さな副作用で『がん』を治療しようという治療法について紹介しました。

第4回は人によって違う異常な遺伝子を一気に調べる最新の技術である『遺伝子パネル検査』について紹介させていただきます。

『遺伝子パネル検査』とは

『遺伝子パネル検査』は、これまでひとつひとつ検査していた遺伝子異常を、より高速にDNAを読み出すことができる『次世代シーケンサー』という装置を利用することで一気に調べる技術です。

『次世代シーケンサー』とは2000年半ばにアメリカで登場した、遺伝子の塩基配列(遺伝子の構成材料の並び)を高速に読み出せる装置のことで、同時並行で読み出せるDNA断片数が従来のDNAシーケンサーに比べて桁違いに多いため、遺伝情報を圧倒的に低いコストと短い時間で解析することが可能です。

2015年、当時のオバマ大統領が『精密医療(Precision Medicine)の推進』に対し予算を投入したことをきっかけに、現在世界各地で研究が進められています。

費用は『コンパニオン診断』約1回分で可能、かかる時間も約3週間で終わるそうです。

『コンパニオン診断』とは、医薬品の効果や副作用を投薬前に予測するために行なわれる臨床検査のことで、ゲノム医療の場合は、一つの異常遺伝子を調べて効果があると分かれば投薬する方法になります。

どの遺伝子が異常か早くに分かれば、どの分子標的薬を使えば効果があるかが分かり、患者さんにとっては心強い味方になりうる検査です。
同時に、遺伝性のがん遺伝子異常を見つけることも可能です。

次回は日本における『遺伝子パネル検査』についてご紹介します。

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