コラム

リハビリで重要な『目標』の共有について

2019.01.30

こんにちは
作業療法士のR.S.です。
今回はこんな話をしてみたいと思います。

二人の患者さんが入院

ある日、二人の患者さんが当院に入院してきました。
一人はAさん、もう一人はBさん。
どちらも脳梗塞を発症して左半身不随の状態でした。
二人とも状態は安定していたので入院初日からリハビリが開始されました。

Aさんは大人しい性格の方で、リハビリに対してあまり積極的ではありませんでしたが、地道に少しずつリハビリを進めていきましょうとセラピストと話しました。
Aさんを担当したセラピストは、まずAさんとリハビリの『目標』について話し合いました。
トイレでナースコールを押すのが申し訳ないので、「早くトイレが自分でできるようになりたい」と希望したので、セラピストともに『日中トイレが自分でできるようになる』という具体的な目標に向けてリハビリを開始しました。

一方、Bさんははっきりした性格でリハビリに対しても積極的で、完全回復を強く望んでいて、「なるべくよくなりたい!」とセラピストと話しました。
Bさんを担当したセラピストは特に目標を決めずに、なるべく動かせるように左半身の運動の訓練をひたすら行いました。

1ヶ月後、AさんとBさんはどうなったでしょうか?

Aさんは1か月でトイレが何とか行えるようになりました。
しかし、夜のトイレがオムツのままでした。
Aさんは夜のトイレ回数が3回と多いため、いきなり毎回トイレに起きるのは、大変そうだったので、担当セラピストと話し合って『夜のトイレで1回はトイレに行って排泄する』という新しい目標を立てました。

一方、Bさんの左半身は少しずつ動けるようになってきましたが、トイレなどの実際の動作はかなりバランスや能力を要求されるので、まだ看護師さんに手伝ってもらっている状態でした。
Bさんも看護師さんに「トイレぐらい自分でできるようにしたほうがいいんじゃない?」と言われたことに腹を立ててしまい、Bさんは「左の手足が動くようになったら全部できるからトイレは後回しでいい」と意固地になってしまいました。

AさんとBさん、二人の違いは?

この二人の違いは何だったのでしょう?
病気の状態は全く同じで、運動麻痺の程度もほぼ一緒です。
ただ単に二人の性格からくる違いだったのでしょうか?

答えはNOです。

Aさんは『小さな具体的な目標』を担当セラピストと共有して、積み重ねていきました。
それによって病気で低下してしまった状態から少しずつ回復していく、その様に注意が向いて、リハビリにも前向きに取り組んで、また新たな目標ができるというサイクルが生まれました。

一方、Bさんは具体的な目標を立てずに、ただひたすら機能訓練を行っていました。
病気になる前の自分とばかり比較していたので、『病気になって落ちてしまった能力』にばかり注意が向いてしまうようになってしまいました。

リハビリにおいて、患者さんとどれだけ『目標』を共有できたか、これが重要な要素になります。


この記事は作業療法士のR.S.様監修のもと作成しています。
記事の内容について詳しく知りたい方はR.S.様にお問い合わせください。

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