コラム

リハビリの見学について

2019.02.23

こんにちは
作業療法士のR.S.です。
今回はリハビリの見学についてです。

私の勤めている病院では、入院している患者さんの80%がリハビリをしています。
リハビリに積極的な人もいれば、そうでない人もいます。

リハビリに積極的でない人をいかにやる気にさせるかは、セラピストにとって永遠のテーマでもあります。

患者さんのやる気を起こす一つの魔法が『家族の見学』です。

ご家族に見学を依頼したAさんの話

Aさんは独り暮らしで、炊事洗濯家のことはすべて一人で行っていました。
夫を早くに亡くし、女手一つで娘と息子、2人の子供を育て上げました。
2人はAさんのことをすごく大事にしていて、少し離れたところに住んでいましたが、月に1度は必ずAさんのところに顔を出していました。

そんなある日、Aさんが雪の日に買い物に出かけた際に滑って転んでしまい、太もも付け根の骨折で入院してしまいました。
手術が必要な状態だったので、2日後に手術を受けて無事成功しました。

太ももの骨折の手術後は、次の日にはリハビリが開始されます。
しかし手術直後だったのでリハビリには痛みが伴います。
その痛みのせいで中々リハビリが思うように進みませんでした。

そこでセラピストは家族にコンタクトを取り、リハビリに見学をお願いしました。
家族はほぼ毎日交代でお見舞いに来ていましたが、「リハビリの邪魔しちゃいけないから」とあえてリハビリの時間を避けていたようでした。

セラピストは「ぜひ、リハビリを見に来てください。家族の見学が何よりもやる気を引き出せるんです。」と家族に伝えました。

次の日、さっそくセラピストは家族が面会に来るタイミングでリハビリの予定を組みました。
Aさんは家族がいたためか、子供の前では“お母さん”の顔になっていました。
普段なら痛くて音を上げる脚の屈伸運動を、いつもの倍やっても「痛い」と言わずにどんどん運動していきます。
途中で家族が帰った後、セラピストがAさんに「痛くなかった?」と聞いてみると「痛かったわよ、でもあの子の前で叫ぶわけにはいかないでしょ~」と笑ってリハビリを終えました。

その後も家族に定期的にリハビリの見学をしてもらい、早期に自宅退院へもっていくことができました。

Aさんの家族のように、「邪魔しちゃいけないから」とリハビリの見学に遠慮をしている人は多いようです。
しかし、家族の応援がやはり患者さんにとっては一番の薬になることをセラピストは知っています。

リハビリの見学に遠慮はいりません。
どんどん見学して、患者さんとともに歩んでください。
私たちセラピストはそのお手伝いをさせていただきます!


この記事は作業療法士のR.S.様監修のもと作成しています。
記事の内容について詳しく知りたい方はR.S.様にお問い合わせください。

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E-mail : r_saitou8681@yahoo.co.jp

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