『がんとゲノム医療』の今後⑥ ~で、おいくらかかるの?~
2019.03.25
こんにちは
徳英の関川です。
ここまでお付き合いいただいた皆様の中には、「そんなにすごい検査ならすぐにでも受けてみたい!」と思った方が何人かはいらっしゃるのではと思います。
最終回である第6回では、実際にがん遺伝子パネル検査を含む分子標的薬によるがんのゲノム治療を受けた際に、現在いくらくらいお金がかかるのかをお伝えします。
『遺伝子パネル検査』にかかる費用の目安
現在、日本で遺伝子パネル検査をする場合、公的医療保険が適用される場合があります。
それは、『原発不明がん』『希少がん』または『標準治療終了後の固形がん』に対してです。
この適用を受けられるがん患者さんは日本全体の約0.5~1%。
つまり、それ以外のがん患者さんは、『自由診療』としてかかる費用をすべて自己負担する必要があります。
第3回で名前を挙げた遺伝子パネル検査だと、『NCCオンコパネルシステム』が一回約67万円、『FoundationOne』は約45万円、『プレシジョン』は約75万円かかります。
『分子標的治療薬』にかかる費用の目安
遺伝子パネル検査で異常な遺伝子が判明し、では治療に移りましょうというところでかかる費用が『分子標的治療薬』の薬代です。
以前ニュースで話題になりました『オブジーボ』のように公的医療保険が適用される薬もありますが、多くの分子標的薬は保険適用がされていない為、これも『自由診療』として自費で支払う形になります。
安い薬でも1回40万円以上かかるものがほとんどで、もし1か月に一度、1年間使うことになれば年間500万円近くが必要になります。
これらは公的医療保険の対象外ですので、高額療養費制度を使うことはできません。
そして、これだけ高い費用を払ったとしても、現在の技術では『がん』を『根治』することはできないそうです。
とはいえ、2人に1人が『がん』になる時代、『がん』は特殊な病気ではなくなり、早期に発見をすれば『治療』をすることができる病気になりつつあります。
その最先端が『がんのゲノム医療』です。
ゲノム医療をさらに発展させた治療法として、異常な遺伝子自体を修復してしまおうという『ゲノム編集治療』という技術も出始めました。
10年先の未来では、「がんになった」という言葉が、現在のような覚悟を必要とするようなものではなく、「風邪をひいたよ」くらいの意味合いになるとよいですね。