入院中の生活で大事な要素
2019.02.06
こんにちは
作業療法士のR.S.です。
今回は入院中の生活についての話です。
私の勤める病院には脳卒中などで長期(1か月から半年近く)入院している患者さんもいらっしゃいます。
病院では朝起きる時間、食事の時間、お風呂の時間、点滴の時間、就寝の時間などすべてが医療者側のスケジュールでことが運んでいきます。
そこに患者さんの自由はほぼゼロです。
脳卒中で右半身不随のAさんのケース
Aさんは脳卒中で右半身不随となってしまいました。
右麻痺には『失語』と呼ばれる、言葉を話したり・聞いたりする能力が障害されること多くあります。
Aさんも聞いた内容はある程度理解できますが、話したいことがあってもそれを言葉にできないという症状がありました。
入院して1か月が過ぎたあたりで、Aさんがベッドでずっと寝ていることが多くなってきました。
昼間顔を覗きに行った時も、リハビリの迎えに行った時も、食事した後すぐもです。
リハビリに行くのも乗り気がしないといった様子です。
理由を聞いても言葉が中々出てこずはっきりしません。
Aさんはどうしてしまったのでしょうか?
みなさんはどう思いますか?
担当セラピストの考え
担当セラピストはこんなことを思いました。
Aさんの病院での生活はすべて『医者・看護婦・セラピストが決めた』スケジュール通りに過ごしています。
Aさんが自らの意思で選択した行為はほとんどありません。
見たい時にテレビを見るくらい、と言ってもテレビも有料なのでそんなに見てもいられません。
『せめてリハビリの時間だけでもAさん自身にスケジューリングしてもらおう!』
次の日からAさんにリハビリの時間をいつがいいか聞いて、その時間でリハビリをするようにしました。
言葉はなかなか出ないので時計で時間を指さしてもらいました。
それからしばらくすると、Aさんはリハビリの前に、布団をはいで起きて待っているようになりました。
またしばらくすると、Aさんはリハビリの前に車いすに座って準備して待っているようになりました。
さらにしばらくすると、リハビリの前には必ずトイレにいって万全の状態で待っているようになりました。
それからは順調にリハビリが進み、無事に自宅へと帰っていきました。
私の勤める病院は、単に『治療』をするための場所ではなく、『生活する場』でもあります。
生活とは選択の連続であり、自分で選択することが自立した生活を送るうえで大事な要素になってきますね。
この記事は作業療法士のR.S.様監修のもと作成しています。
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