コラム

将来世代の年金給付水準は?

2019.09.18

こんにちは
徳英の菊地です。

今回は厚生労働省が発表した『財政検証』による将来世代の年金給付水準について調べました。

厚生労働省が『財政検証』の結果を公表

厚生労働省は8月27日、公的年金財政の今後100年程度の見通しを示した『財政検証』の結果を公表しました。
『財政検証』では、夫が60歳まで厚生年金に加入し、妻が専業主婦の世帯をモデルに、将来の給付水準を示しています。
給付水準は現役世代の平均手取り収入に対する年金額の割合である『所得代替率』という指標で示しています。

『所得代替率』の計算式は以下の通りです。
(夫婦2人の基礎年金 + 夫の厚生年金) ÷ 現役男性の平均手取り額 = 所得代替率 

2019年度の所得代替率は61.7%で、5年前から1.0%低下しています。
低下の要因としては、この5年間でマクロ経済スライド(物価や賃金の上昇に応じた年金額の伸びを抑える仕組み)が2度発動したためです。

将来世代がもらう年金の所得代替率は

将来世代がもらう年金の所得代替率の変化は、検証で経済状況に応じた6つのケースで示しています。


出典:厚生労働省『2019(令和元)年財政検証結果のポイント』

ケースⅠ~Ⅲは2029年度以降の20~30年間について、女性や高齢者らの労働参加が進んで実質経済成長率がプラスとなり、実質賃金も1%を越えて上がるケースです。
ケースⅣ~Ⅴは労働参加は一定程度進むが、成長率は横ばいか微増のケースです。
ケースⅥはマイナス成長に陥るケースです。

検証結果によると、ケースⅠ~Ⅲではマクロ経済スライドが2046年~2047年度まで30年弱にわたって発動、最も経済状況が良いケースⅠの所得代替率は46年度に51.9%まで下がって給付抑制が終了します。
実質成長率が0.4%どまりのケースⅢでは、2047年度まで抑制が続き、最終的な所得代替率も50.8%と少し下がります。

一方、成長率が横ばい圏にとどまるケースⅣ~Ⅴでは賃金が伸び悩み、年金の抑制期間が長くなります。
財政を均衡させるには2053年~2058年度まで抑制を続け、所得代替率も44.5%~46.5%まで下げる必要が出てきます。
政府は所得代替率が50%を下回る場合には対策を講じるとしており、50%を割り込む2043年~2044年度ごろに、保険料の引き上げなど現役世代の負担増が必要になる公算が大きくなります。

ケースⅥは長期にわたってマイナス成長が進む厳しい想定です。
2043年度に50%に到達、さらに機械的に抑制を進めると、2052年度には国民年金の積立金が枯渇してしまいます。
現役世代の保険料と積立金を活用して引退世代の年金を支払う現行制度の枠組みは崩れ、現役世代の保険料全額を年金給付に充てる『完全賦課方式』に移行し、所得代替率は36%~38%と大きく低下します。

いかがでしたか?
今回の厚生労働省の発表で、公的年金が先細りするという未来像が改めて示されました。
また、野党側からは経済成長や就業率など試算の前提条件が甘いという指摘もあり、検証よりも厳しくなる可能性もあります。

次回は『財政検証』の結果を踏まえて、どのような改革が検討されるかをご紹介します。


【参考】
厚生労働省ホームページ
日経新聞2019年8月28日
読売新聞2019年8月28日

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