コラム

先細りする年金の制度改革は

2019.09.19

こんにちは 徳英の菊地です。 前回は厚生労働省が発表した『財政検証』による将来世代の年金給付水準についてご紹介しましたが、今回は『財政検証』の結果を踏まえた年金の制度改革案について調べました。

先細りする公的年金

公的年金財政の今後100年程度の見通しを示した『財政検証』の結果、給付水準の指標となる『所得代替率』(現役世代の平均手取り収入に対する年金額の割合)は、2046年度には最も楽観的なケースでも51.9%まで下がり、2019年度に比べ16%低くなり、先細りする公的年金の未来像が示されました。
※『財政検証』の結果については前回コラムを参照ください。

厚生労働省が用いた6つの経済前提では、どれも実質賃金が増えるとしていますが、過去5年間で実質賃金が増えたのは2016年度の1年だけとなっています。
介護の必要度が高まる75歳以上の高齢者が増えていくのを踏まえると、過去5年に進んだような高齢者の労働参加もいずれ限界を迎え、検証よりも厳しくなる可能性もあります。

日本経済のマイナス成長が続き、労働参加も進まなければ、2052年度には国民年金(基礎年金)の積立金が枯渇します。
厚生労働省は一定の年金水準を確保できるように、会社員らの入る厚生年金の適用を拡大し、高齢者やパートらの加入を増やす改革に乗り出すとしています。

厚生労働省による制度改革案

将来の低年金者を減らすため、厚生労働省は厚生年金を適用する労働者を拡大する考えです。
現在、年金は(1)従業員501人以上の企業に勤める(2)労働時間が週20時間以上(3)月額賃金が8.8万円以上ーーなどを満たす労働者を対象としています。 これらの要件について3つの仮定を置き、どれくらい所得代替率を押し上げるのか確認する『オプション試算』を財政検証に合わせて実施しました。


出典:厚生労働省『2019(令和元)年財政検証結果のポイント』

①は厚生年金を適用する企業規模の要件を廃止し、125万人が新たに加入する場合、所得代替率を0.4~0.5ポイント引き上げる効果があるとしています。

厚生年金を適用する企業規模の要件と賃金要件を廃止し、325万人が新たに加入する場合、所得代替率を0.8~1.1ポイント引き上げる効果があるとしています。

月収5.8万円以上の短期労働者すべてを対象にした場合、1050万人が新たに加入する場合、所得代替率を4~5ポイント引き上げる効果があるとしています。

また、国民年金(基礎年金)の保険料を納付できる期間を延長することも所得代替率の引き上げに大きな効果があります。

出典:厚生労働省『2019(令和元)年財政検証結果のポイント』

60歳から65歳まで延長した場合、所得代替率は7ポイント弱上がることが試算されています。
ただし、国民年金の財源の半分が税金の為、納付年数が伸びた分に合わせて年金を増額すれば、必要な税金も増えるため、実現のハードルは高くなっています。

一方、働いて一定の収入のある高齢者の年金を減額する仕組みの『在職老齢年金制度』の見直しは所得代替率を下げるとの結果が出ています。

給付抑制の強化は慎重姿勢で、「給付増の抑制ではなく、支え手を増やすことなどで給付をいかに確保するかが今後の課題」としています。
厚生労働省はこうした試算を踏まえ、将来の年金給付水準を底上げする効果が大きい厚生年金の適用拡大を急ぐ構えです。


【参考】 厚生労働省ホームページ 日経新聞2019年8月28日

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