コラム

高齢者のがん治療「耐える力」評価へ

2020.09.08

こんにちは
徳英の菊地です。

今回は、2020年9月7日の日本経済新聞朝刊15ページに掲載されていた『がん治療「耐える力」評価へ』から、高齢患者の健康状態を事前に考慮したがん治療についてご紹介します。

高齢患者の健康状態を事前に考慮したがん治療

がんは日本人の2人に1人がかかる身近な病気で、がん患者の7割強が高齢者となっています。

高齢者は同じ年齢でも健康状態などの個人差が大きく、抗がん剤の効き方や副作用など体への影響や負担の違いが生じやすいそうです。
そこで、高齢者の健康状態や認知機能などを事前に詳しく調べ、一人ひとりの「耐える力」を把握して手術・治療する動きが活発になっています。

九州がんセンターの取り組み

九州がんセンター(福岡県福岡市)では2018年9月に「老年腫瘍科」を開設しています。
この科では、高齢のがん患者の運動能力や認知機能、生活を支える家族の有無などを「高齢者機能評価」として、丁寧に調べています。
高齢のがん患者を診る専門部署の設置は国内初の取り組みだそうです。

500人を超す患者を調べた西嶋智洋 科長は「一人ひとりの健康状態などに応じた治療を施す必要がある」と指摘しています。
というのも、高齢者の健康状態は様々で、中年並みに健康な人もいれば、極端に体力が落ちた人もいることがわかったからです。
体力だけでなく、家族の支援があるかないかでも、治療経過は異なってくることもあるといいます。

同センターでは、75歳以上の初診のすべてのがん患者に、まず『G8(※1)という簡易な健康状態評価を実施します。
看護師が栄養状態、内服薬、歩行能力など5分程度で問診し、採点します。

(※1)『G8』について、詳しく知りたい方は下記をご確認ください。
NPO法人キャンサーネットジャパン|『もっと知ってほしい前立腺がんのこと』16ページ
https://www.cancernet.jp/wp-content/uploads/2013/08/w_zenritusen20181016.pdf

『G8』の点数が低く、主治医が必要性が高いと判断した患者には、老年腫瘍科で約1時間かけて以下の機能を評価します。


・4メートルを歩く速度や、椅子に座った状態から足の力で立ち上がるのにかかる時間

・日常生活に必要な動作(歩行や着替え、食事などのほか、家事や交通機関の利用など一人暮らしに必要な動きが可能か)

・単語を覚える能力などの認知機能

・高血圧や糖尿病など、がん以外の持病の有無や使用中の薬の数

・同居する家族の有無や、抑うつ傾向などの精神状態


これらすべての結果を点数化し、抗がん剤の使用量や期間、手術するかどうかなどの治療の種類や体への負担などを主治医へ提案する仕組みです。

活発化する運動能力・認知機能を点数化する動き

以前から高齢者の健康状態などの機能を調べて様々な病気の治療に生かす動きはありました。
東京都健康長寿医療センター(東京都板橋区)では、肺がんを疑われた65歳以上のほぼ全員を調べてきました。
歩行能力や認知機能、精神状態のほか、体感と手足の筋肉の量も調べ、運動能力などが低下した患者はデイサービスへ通ったり、がんの治療に加えて筋力維持のリハビリや社会参加を促したりする提案をします。

同センターの山本寛 呼吸器内科部長(以下 山本部長)は、これまでのがん治療では、患者の年齢や元気さを医師が感覚的に判断して治療の種類を決めることが多いと指摘し、事前に評価しないと、体が弱った高齢者へ多すぎる抗がん剤を投与して続けられなくなったり、認知機能の低下で治療の内容を理解できずに中止したりすることもありました。

このような機能評価は島根大学病院(島根県出雲市)や杏林大学病院(東京都三鷹市)、国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)なども積極的に実施しています。

高齢がん患者の健康状態に合わせた治療の重要性が増している一方で、実施している医療機関はまだ少ないようです。
きちんと機能評価すると時間も人手もかかるため、日常の診療の中で実施するには医療機関の工夫のほか、国などの支援も必要だと山本部長はいいます。


【参考】
日経新聞朝刊 2020年9月7日 15ページ
NPO法人キャンサーネットジャパン(https://www.cancernet.jp/

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